台湾の駅弁(台鐵便當)と幻の駅弁
台湾旅行中、いくつかの場所で駅弁のような弁当を売っている光景に出会いました。
台湾鉄路で一般的に売られている弁当は「台鐵便當」と呼ばれる写真のお弁当。
昼時になると各駅の台湾鉄路直営売店や自強号をはじめとする各列車の車内販売で発売されます。
このお弁当の名称は「台鐵便當」のほか、「鐵路餐盒」「鐵路便當」等とも呼ばれているようです。
値段は60元。日本円で約210円。ペットボトルのお茶が20元(約70円)の物価と考えても実にリーズナブルです。
この「台鐵便當」は、列車内には台鉄のマークが入ったダンボールで積み込まれ、車販のワゴンにはこの弁当しか積まれていなかったと思います。
表紙に使用されている列車は、2007年から運行を開始する予定の「太魯閣(タロコ)号」
JR九州の「白いかもめ」や「白いソニック」の技術を使用した日本製の車両で、西部幹線の台北(樹林)-花蓮間に投入され、同区間の大幅なスピードアップに貢献するようです。
「太魯閣(タロコ)号」が表紙ということで、空き箱を持って帰りたかったのですが、容器は全体で一体構造となっており中のお弁当も、脂っこく匂いもきついものだったので、持ち帰りは諦めて、写真だけで済ませました。
さて気になる「台鐵便當」の中身ですが、排骨飯と呼ばれる台湾での一般的なもの。
下にひかれたご飯の上に、排骨とゆで卵それに高菜が添えられています。排骨は非常に脂っこいもので、これには少し異国を感じましたが、値段の割には結構おいしかったです。
ただあまりの脂っこさに、1度食べれば3日は求めないかも知れません(笑)
ところで、台湾には「幻の駅弁」なる「懐旧便當」というものがあることを、成田から台北に向かう日本アジア航空の機内誌(アジアエコー)の台湾最新情報局の特集記事で知りました。
この記事によると「懐旧便當」は、新宿の京王百貨店で開催されている駅弁大会で2002年2003年の目玉商品として準備されたが開店と同時に品切れてしまったとのこと
この弁当は布製の手提げ袋に入っており、中はレトロなステンレス製の丸型弁当箱。手提げ袋と弁当箱には懐かしい鉄道駅の風景が描かれています。
肝心の弁当は、「台鐵便當」と同様の排骨飯。ただしご飯はザーサイとチンゲン菜と桜エビのオリジナル混ぜご飯とのこと。
台北駅では台湾鉄路直営売店で11:30から、1個300元(約1,100円)で販売するが、1日の販売量は10~20食程度とのこと。
台北駅のほかに、高雄、台中、花蓮の各駅でも販売されると記載がありました。
これは今回の台湾滞在中に何とか手に入れたい!
そう意気込んで、2日目の昼ごろ。平快に乗って訪れた「花蓮駅」でちょうど11:00ぐらいの時間を迎えたので、この幻の駅弁を探したのですが、駅の中にはセブンイレブンしか見当たらず、ホーム内の売店も覗きましたが。見つけられませんでした。
翌日「台北駅」に戻ったのは11:00ごろ。
まずチケット売り場と同じフロアにある台湾鉄路直営の弁当売り場を探し当て、中を覗くと店内の中央に置かれた大きなワゴンの中に「台鐵便當」を中心に数多くの弁当が並んでいました。しかしながらそのワゴンの中には目指す幻の弁当「懐旧便當」はありませんでした。
ところが、ふと目を壁側にやると、そこには日本アジア航空の機内誌でみた幻の駅弁「懐旧便當」の容器が・・・・
更には蓋だけが10枚近く並んでいるではありませんか!
蓋の絵柄は毎年変わるのか、それともスペシャルバージョンなのか、全ての絵柄が違っていました。
そしてそのずらりと並んだ蓋の脇に、ありました!幻の駅弁「懐旧便當」が!!!!
でももしかしてサンプルかも?
そう思って弁当の入った袋を手に持ってみると、ずしりと重くあきらかに中身入りです。
でもほかの弁当と違ってワゴンの中に入っていなかったので、ちょっと不審に思い幻の駅弁を手に持って、レジのおばさんに「これがほしい!」と訴えました。
しかしながらおばさんは困ったように、中国語で何かを言っています。こちらは中国語がわからないのでお互いに困っていると、その様子をみた現地の中年夫婦の方が英語で、「それはスペシャル弁当で、今日の販売分は終わっている」と伝えてくれました。
私が手に持っている中身入りは多分予約分なのでしょう・・・・。このときは諦めて台湾鉄路直営の弁当売り場を後にしたのですが、このときにレジのおばさんが、レジの脇においてあるダンボールの方をみて何か言っていたのが気になりました。
その後、台北駅のチケットカウンターに並び、当日の台北→彰化の自強号と彰化→台北の復興号のチケットを入手した後、諦めきれなかったのと、さっきのおばさんの仕草が気になって、再度台湾鉄路直営の弁当売り場を覗きました。
するとどうでしょう。さっきまではワゴンの外に並んでいた幻の駅弁が3個、なんとワゴンの中に移動しているではありませんか。
これはもしかして買えるってこと?
そう思って、さっきと同じように接客の合間、手が空いたおばさんに向かって、「売ってくれるの?」とたずねると、またまた困った様子。
ところが今度はどこかに電話してくれて、何かを聞いている。
もしかして予約分を売ってもよいものか、どこかにたずねてくれているのだろうか?そう思いながら電話が切れるのを待っていたが、結果はNGだった。
でもおばさんは、「中身はなくてもよいならある」というような仕草をして、レジの脇にあるダンボールから取り出したのが、幻の駅弁のステンレスの弁当箱だった。
中身がないかどうかわからないので、あけて見せてもらうと本当に空っぽ(笑)
でもこれで十分。「OK!OK!」と言って売ってもらいました。
中身はないものの、布製の手提げ袋、2段になったステンレス製の弁当箱。それと台鉄マーク入りのオリジナルの箸がセットになったものを、200元(約700円)で購入しました。
もちろん中身つきで、弁当を食べたかったけども、旅行者で日本に容器を持って買えることを考えれば、中身なしのほうがベストだったのかもしれません。
この幻の駅弁の空容器が、今回の台湾旅行の唯一の自分へのお土産となりました。
ところで、この幻の駅弁を売っている台湾鉄路直営の駅弁売り場の横には、なんと同じく台湾鉄路直営の鉄道グッズを販売する売店があります。
残念ながら私が訪台し、台北駅を訪ねた2006年11月24~25日はどちらも閉店していましたが、12月は開店しているとの情報もあります。
閉店している店内を見ると、自強号の模型や駅員さんか乗務員さんをデフォルメしたストラップ等が見えました。
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コメント
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楽しく読ませてもらっております。
私が今年の正月に行った際は、同じ弁当屋で
陶器製の容器に入った排骨飯便當が置いて
ありました。117周年記念と書かれた丸い
バッグに入っていました。
投稿: トーマス | 2008年1月23日 (水) 21時58分